我が実家で大切に片付けられている誇りある作業服達

今の私は作業服とはまったく関係のない立場にいますが、けれども作業服に対してそれなりの思い入れがあります。私の父親は若い頃から林業の現場で、木と格闘してきた作業員の1人でした。普通の会社員が着るようなビジネススーツが家にはほとんどなく、少ないながら持っていたものは、父が社会人になった時に購入したものです。

そんな我が家に大量にあったのが、仕事で着る林業の作業服でした。もちろんその中には汚れすぎたり、傷んだりして、現役を引退した作業服もあります。けれども父はそれを捨てることはせず、洗い、そして補修し、しっかりと片付けて保管してありました。母もそれらを捨てることはなく、逆に補修を手伝っていたみたいです。
幼少の頃にそのような普通とは違う服が身近にあれば、一度は着たいと思うのが子供心。私も例に漏れず、友人達と共に家に保管してあった作業服を着た経験があります。大人と子供の体型の違いから、実際に着るのとは程遠い感じでしたが。それでもその作業服を着て、気付いたことがありました。普通の服とは違う肌触りや機能から、この服が父の仕事の重要な道具の1つであること。また、どの作業服も同じような場所が汚れ、傷んでいることから、父の仕事に対する変わらぬ在り方を。社会人となった今ならこのように言葉にもできますが、当時は感覚のみの不思議な感情だったと思います。
今でも実家を探せば、しっかりと父の作業服が保存されているでしょう。思い出せば、それが父の誇りのようにも感じられます。今の私の仕事には、子供に見せられるような作業服がないのが、少し残念に思えてなりません。

Comments are closed.